IR優良企業賞

毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。

IR優良企業賞2017 受賞企業

一般社団法人 日本IR協議会(会長・隅修三 東京海上ホールディングス株式会社 取締役会長)は、このほど2017年度IR優良企業賞受賞企業を決定いたしました。

審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2017年の応募企業は284社となりました。
IR優良企業大賞2社、IR優良企業賞7社、IR優良企業特別賞3社、IR優良企業奨励賞2社の合計14社でした。受賞企業は下記の通りです。

IR優良企業大賞 受賞企業(社名50音順)

コマツ (小松製作所)
2010年IR優良企業大賞、2016年・2013年・2008年・2007年IR優良企業賞

長期にわたって一貫した情報開示を継続し、投資家との対話も深めている。 経営層が交代してもその姿勢は変わらず、IR担当者の知識や組織としての対応も十分である。経営トップをはじめとする経営層による対話や、工場見学会、部門別説明会などへの評価も高い。 月次の建設機械の稼働状況データなどをウェブサイトで開示し、個人投資家向けIRも充実させるなどフェア・ディスクロージャーも意識している。近年注力しているESG説明会は、持続的な成長への信頼性を高めると評価されている。

塩野義製薬
2016年・2015年IR優良企業賞、2014年IR優良企業特別賞

経営トップは投資家との対話に積極的で、自社の競争優位性についての説明には説得力がある。 厳しい環境でもハイレベルな情報開示を継続し、資本市場と対話を継続していることは投資家の信頼感につながっている。対話の成果をガバナンス改善に活かしたり、R&D(研究・開発)部門の幹部などの意識改革や事業戦略に反映させていることへの評価も高い。 IR部門は継続してレベル向上に取り組んでおり、ESGに関する対話促進によって、社会的課題への取り組みと企業価値向上のつながりを示すことに尽力している。

IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)

ダイキン工業
初受賞

経営トップが投資家と対話し、首尾一貫した姿勢で事業環境や中長期の課題などについて説明している。 IR部門は投資家が望むことを把握して説明資料などに反映し、アニュアルリポートも毎年テーマを変えるなど工夫している。 ウェブサイトを通じた情報発信や工場見学会などのイベント開催にも積極的。個人投資家向けIR活動も活発化させている。高いDOE目標を掲げるなどの資本政策も設定し、資本市場の理解を促している。

大和ハウス工業
初受賞

近年、IR活動を強化し、その姿勢や情報開示、経営へのフィードバック、事業説明会などのイベントなどが業界の中でもトップクラスという。数値による開示が詳細かつわかりやすく、事業分野別スモールミーティングでも有益なディスカッションができる。 初めて作成した統合報告書では企業価値向上のプロセスを明確に説明し、また同書を用いたミーティングを開催することで、対話と理解を深めるツールとして高く評価された。

ナブテスコ
2012年IR優良企業特別賞

事業環境の変動が大きい中、安定してIRレベルを維持・向上している。 経営トップを中心にIR活動を積極化しており、フェアで簡潔な説明がぶれないとの評価がある。統合報告書はガバナンスや会計基準、報酬制度について長期にわたって説明し、理解を促している。 ESGについてはミーティングなどを通じ投資家と対話を深めている。ウェブサイトに個人投資家向け専用サイトを設け、イラストなどを多用しわかりやすく説明している。

野村総合研究所
初受賞

一般的に把握しにくいとされる業態にあって、継続的に情報開示を維持・向上させている。 経営トップが積極的に投資家と対話し、率直に意見交換する姿勢への評価も高い。IR部門は経営陣の考え方や事業内容などを投資家に理解してもらおうと努力し、丁寧に説明を続けている。 アクセスのしやすさや長年の経験の蓄積などで、IR部門の現場への信頼感も高い。説明資料も充実しており、事業ごとの説明会などのイベントも評価されている。

ポーラ・オルビスホールディングス
2015年IR優良企業賞

経営トップがIR活動に深く関与して開示レベルを高く引き上げ、資本市場の声を経営に活かす姿勢が明確である。 経営トップは外国人投資家に加えて国内投資家とも対話を続け、IR部門は個人投資家向けイベントも活発化させている。経営企画・財務部門などのサポートでIR部門に必要な情報が集約され、情報開示の精度に対する高い評価を得ている。 ブランド別の業績数値を掲載したファクトブックなどのIRツールへの評価も高い。

丸井グループ
2016年IR優良企業特別賞

近年、IRを積極化し、経営トップを中心に活動を充実させている。 3年連続して発行した統合報告書でも、コーポレートストーリーを明確に打ち出し、投資家の声を活かしたKPIを活用して企業価値向上への道筋を示している。投資家などと企業価値を「共創」するという姿勢でIR活動を実行し、説明会やその資料に対する評価も高い。 ESG推進にも率先して取り組み、事業に加えてESG関連・統合報告書に関する説明会も開催している。

三菱UFJフィナンシャル・グループ
初受賞

経営トップのIR姿勢が積極的で、投資家と対話する機会も多い。 事業内容が多岐にわたり複雑な組織構造になっている中で、IR部門は正しく理解してもらうための活動に取り組んでいる。 部門ヘッドや筆頭独立社外取締役が登壇し質疑応答なども行うInvestors Dayの開催、経営トップとのスモールミーティング、事業別の説明会など工夫をこらしたイベントへの評価も高い。本編と資料編の2部構成の統合報告書も充実している。

IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)

キリンホールディングス
2009年IR優良企業大賞、2000年・1999年IR優良企業賞、2006年IR優良企業特別賞

経営トップが積極的に投資家と対話の機会を設け、経営改革や企業価値向上の道筋を示している。 マネジメントの説明は説得力があり、厳しい事業環境の中でも投資家が求める情報を発信している。非財務情報を活用したIR活動も進めており、時系列、網羅的、かつコンパクトにまとめられた「コーポレートガバナンスの変遷」などのIRツールも評価されている。 従来からIR活動の水準は高かったが、近年改めて評価が高まっている。

ソニー
1996年IR優良企業賞

経営トップやCFOは、株主、投資家の意見を経営に活かして企業価値を向上させようとする姿勢が明確である。 IR部門も投資家の疑問に対して真摯に向き合い、丁寧に説明して可能な限り解決しようと努めている。説明においても、市場のニーズや懸念材料の把握に努め、キャッシュフローを重視した開示を強化するなど資料に適宜反映するスピード感がある。 経営層の資本市場に向けてのコミットメントも強く、投資家との対話機会も多い。

不二製油グループ本社
初受賞

ここ数年のIRの進展が目覚ましい。 経営トップを中心にマネジメント層が一体となってIR強化に取り組んでいる。社内取締役だけでなく社外取締役もIRミーティングに参加するなど、株式市場と積極的に対話する姿勢を強めている。 IR部門は技術説明会や施設見学会などのイベントを通じ、投資家とのコミュニケーション機会を拡大しビジネスモデルの理解を促している。投資家の視点を取り入れた中期経営計画の発表などにも取り組んでいる。

IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)

トラスコ中山
初受賞

経営トップのオープンな姿勢が高い評価を得ている。 トップの姿勢が開示レベルに反映され、中短期業績予想などの投資家に有用な情報を積極的に発信しているほか、決算説明資料は日英で公表。決算説明会資料を同日にウェブサイトに掲載するなど早期、公平な情報開示に努めている。 社会貢献や女性活躍などのESG情報を重視し、内容も詳細。説明におけるIR担当者の理解力も深い。 個人投資家向け活動も充実させている。

リクルートホールディングス
初受賞

2014年リクルートホールディングス(初受賞)上場以降、高水準のIR活動を展開していることが評価された。 IR部門は説明会資料をはじめとした詳細な資料による情報開示と丁寧な対応に努めている。投資家の視点を取り入れた経営指標を導入するなど、資本市場からのフィードバックにも積極的で、情報開示のレベルも高い。 定期的な決算説明に加えて、投資家の関心が高い事業に関する説明機会を充実させていることも評価された。個人投資家向けの対話機会も拡大している。