IR優良企業賞
IR優良企業賞
毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。
また、2018年は「日本IR協議会設立25周年記念表彰」を設けました。
IR優良企業賞2018 受賞企業
一般社団法人 日本IR協議会(会長:泉谷直木 アサヒグループホールディングス株式会社 代表取締役会長)は、このほどIR優良企業賞2018を決定いたしました。
審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2018年の応募企業は299社となりました。受賞企業はIR優良企業大賞1社、IR優良企業賞7社、IR優良企業特別賞3社、IR優良企業奨励賞2社の13社と設立25周年記念表彰・特別賞1社です。
また設立25周年記念表彰の一環として、IR向上企業84社、IR継続企業96社を選定いたしました。
IR優良企業大賞 受賞企業(社名50音順)
- エーザイ
- 2006年IR優良企業大賞、2012年・2009年・2005年・2004年IR優良企業賞
情報開示に積極的で常にレベルを引き上げている。 長年にわたって経営トップが投資家と対話し、中長期で目指す姿と経営課題を率直に語っている。CFOとIR部門は、他社に先駆けてバランスシートマネジメントの説明や非財務情報開示の充実に取り組んでいる。ESGについては情報開示にとどまらず、社外取締役が登壇する説明会や統合報告書の説明会などを開催。 業績に影響を与えそうな情報を適時開示して迅速に説明会を開催するなど、適時性や公平性を意識した開示姿勢への評価も高い。
IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)
- 住友化学
- 2015年特別賞
決算説明資料などの情報開示が充実しており、独自に作成する「インベスターズハンドブック」などの説明資料は、アナリストなどから高い評価を得ている。 経営トップをはじめとして全社的なIRへの意識が高く、説明会やミーティング後に得た投資家などからのフィードバックを基にIRの継続的な改善に取り組んでいる。IR部門による説明も明確でわかりやすい。ESGへの取り組みや事業説明会など、非財務情報開示にも積極的に取り組んでいる。
- ソニー
- 1996年IR優良企業賞、2017年特別賞
経営トップがIRの重要性を認識し、投資家の声を経営や情報開示に活かしている。 トップとCFOが定期的に資本市場と対話して率直に議論する機会や、継続的にフェア・ディスクロージャーに努めている姿勢への評価も高い。事業が多岐にわたる中、事業部門責任者が登壇するIR Dayを開催し、ROICなど詳細な情報開示を充実させて事業戦略の説得力を高めている。ESG説明会など投資家ニーズを踏まえた新たな取り組みへの注目度も高い。
- ピジョン
- 2015年特別賞
経営トップの企業価値向上意識が高く、定期的に投資家と対話している。 投資家の関心が高い中国や米国などの海外事業部門トップも説明会に出席するなど、意見交換の機会が広がっている。資本コストを意識した「PVA(同社独自のEVA」に基づく分解ツリーの開示など特徴ある取り組みは、経営への信頼感を高めている。IR部門は研究所見学や工場見学、経営層とのスモールミーティングなどを設定し、投資家の要望に応えている。
- 不二製油グループ本社
- 2017年特別賞
現在の経営トップになってからIR活動の進歩、向上が著しい。 トップはCFOとともに資本市場との対話を積極化しており、投資家の声を情報開示に反映しようと努めている。2018年に初めて作成した統合報告書では、企業価値と社会との関わりをトップが明確に定義し、「ESG経営」による持続可能な社会の実現と自社の持続的な成長をわかりやすく説明している。IR部門が積極的に開催する施設見学会や技術説明会などへの評価も高い。
- 三井物産
- 2008年IR優良企業賞、2014年特別賞
経営トップが積極的にIRに関与し、CFOも定期的にスモールミーティングに出席するなど経営層の対話姿勢が明確である。 IR部門は部長を筆頭に担当者の意識が高く、全社から集積した情報を基に的確に説明している。詳細な資料も早期に整え、経営戦略や投資計画、利益増減分析といった情報をタイムリーに提供している。ESGなど非財務情報の充実や、経営層と主要事業部門の責任者、社外取締役も登壇するインベスターデイへの評価も高い。
- 三菱商事
- 2007年・2002年IR優良企業賞
投資家の関心が高まるESG情報を率先して開示し、説得力を高める工夫を続けている。 経営層が資本市場との対話に積極的で、IR重視の姿勢が根付いている。IR部門は全社情報の把握に努め、事業部門との連携も図っているため情報開示が安定している。タイムリーな電話会議や経営計画関連資料に加え非財務情報も豊富で、経営トップの説明も丁寧である。セグメントごとに事業説明会を定例化するなど、アクセス機会を増やす努力も続けている。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 2017年IR優良企業賞
経営トップがIR活動に深く関与し、明確に自分の考えを示している。 IR部門は投資家の理解を深めるための工夫をこらし、対応も丁寧である。Investors Dayにおける事業部門トップによる説明やESG説明会への外国人社外取締役の登壇、事業戦略説明会など対話機会の拡充は、経営戦略の展開状況やポジショニングの理解につながっている。事業が多岐にわたり複雑なグループ構造になっているが、統合報告書などを通じて理解促進に努めている。
IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)
- オムロン
- 2012年IR優良企業大賞、2015年・2007年・2006年IR優良企業賞、2005年特別賞
サステナビリティ目標を経営計画に統合して達成を目指すなど、経営面でもESGを重視している。 取締役報酬にサステナビリティ評価を反映するなど、中長期視点で企業価値を向上する意識も高い。IR活動には定評があるが、近年ESG説明会などを開催し、海外のESG関連カンファレンスにも参加するなどESGに関する情報発信や対話を、先進的に充実させている。 継続的な活動に向けてESG重視の投資家との意見交換にも努めている。
- 三井住友トラスト・ホールディングス
- 2010年特別賞
IR部門に十分な経営情報が集積され、建設的な対話につながっている。 IR活動に一貫性があり、情報開示の積極姿勢も保持されている。決算説明会後にスモールミーティングを実施し、経営トップが率直に意見交換している点もアナリスト・投資家の評価が高い。開示情報の面では政策投資株、米国債などの有価証券ポートフォリオ、与信ポートフォリオの3点を中心に、リスク対応を含めて詳細な開示を行っているところに工夫がみられる。
- ミネベアミツミ
- 初受賞
経営トップの積極的なIR姿勢が鮮明で、成長戦略とその進捗を丁寧に説明している。 IR部門も投資家・アナリストとの面談内容を経営トップに定期的にフィードバックするなど、対話の充実に努めている。決算説明会などのIR資料や動画配信、IR担当者の説明なども充実しており、わかりやすい。EV(電気自動車)など先端的な領域や、将来性が不透明な分野への取り組みなど、長期を見据えた情報開示にも積極的に取り組んでいる。
IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)
- MCUBS MidCity
- 初受賞
全般的にIR活動のレベルが高いREITの中でも情報開示が充実している。 経営トップが資本市場と対話し、投資家の声を経営に反映している。ESG情報に外部評価を盛り込むなどの取り組みにも積極的。投資家層の拡大に向けて、オンラインの個人投資家向け説明会やラジオ番組への出演、証券会社の地方支店でのセミナーなども展開している。地震、風水害の影響など、不動産投資信託として投資した対象のリスクに関する情報開示も迅速。
- ソラスト
- 初受賞
経営トップがリーダーシップを発揮し、投資家やアナリストとの対話に積極的。 再上場する過程で経営が大きく改善し、それに伴いIR活動のレベルも向上した。IR部門の説明力には定評があり、情報開示も迅速。一般的にわかりにくいとされるサービス業の中で、長期の経営ビジョンを目標値とともに語り、業績や経営戦略の進捗を測る数値とも整合性がある。活発な介護事業のM&Aについても、説明が丁寧。全体的にIR活動のバランスがよい。
日本IR協議会設立25周年記念表彰
サステナビリティ(持続可能性)に貢献するIR活動
日本IR協議会設立25周年を記念して、「特別賞」の表彰、および特別賞の選考対象となった企業から「IR向上企業」「IR継続企業」を選定しました。
- ●「日本IR協議会設立25周年記念表彰・特別賞」
- 日本IR協議会 設立25周年記念表彰・特別賞とは中長期にわたってIR活動を継続し、適切な情報開示と建設的な対話に向けた取り組みが認められた日本IR協議会会員企業を特別に表彰するものです。IR優良企業賞の審査委員会が2007年から2018年までの12年間の審査結果を基に選考しました。
IR優良企業賞応募企業のうち、継続的に応募があり、かつ第2次審査に進出して審査結果が継続的に高いレベルにある企業の中から、2018年に限り設ける賞です。 - ●「IR向上企業」
- この選考の対象となった企業のうち、対象期間中(2007年から2018年までの12年間)、審査委員の高い評価を安定的に得ており、IR向上を目指す努力が認められる企業を選定するものです。こちらも2018年に限っての選定です。
- ●「IR継続企業」
- この選考の対象となった企業のうち、対象期間に連続してIR優良企業賞に応募し、中長期にわたってIR活動を継続していると認められる企業を選定するものです。こちらも2018年に限っての選定です。
日本IR協議会設立25周年記念表彰・特別賞 受賞企業
- 積水化学工業
- 初受賞
長期にわたる高いレベルでの総合的なIR活動の継続と、適切な情報開示と建設的な対話に向けての取り組みが安定的に評価されている。 決算関連資料など開示資料の充実に加え、IR担当者の説明がわかりやすく、アナリストの企業価値分析に貢献している。早くからESG関連の活動を始め、ウェブサイトなどを通じて個人投資家にも発信している。工場見学会の開催や、事業戦略への理解を深めるための説明など非財務情報開示にも取り組んでいる。