IR優良企業賞

毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。

IR優良企業賞2020 受賞企業

一般社団法人 日本IR協議会(会長:泉谷直木 アサヒグループホールディングス株式会社 代表取締役会長)は、このほど「IR優良企業賞2020」受賞企業を決定いたしました。

審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2020年の応募企業は284社となりました。受賞企業はIR優良企業大賞3社、IR優良企業賞6社、IR優良企業特別賞3社、IR優良企業奨励賞2社の14社です。

また、今年度は、IR優良企業賞の開催25回目を機に「”共感!” IR賞」を新設いたしました。

IR優良企業大賞 受賞企業(社名50音順)

ソニー
2019年・2018年・1996年優良企業賞/2017年特別賞

経営トップが就任以来、投資家視点を踏まえて開示と対話を強化している。多様な事業を展開しているが、存在意義(Purpose)、価値観(Values)などを基盤にして統合的に説明し、長期的な企業価値向上への信頼感を高めている。統合報告書では価値創造のプロセスを簡潔かつ具体的に説明し、グループ経営の方向性を明確にしている。IR DayやESG説明会などのイベントや経営層とのミーティングの設定も的確で、毎年改善に努める姿勢が評価されている。

ダイキン工業
2019年・2017年優良企業賞

経営トップがIRに積極的に関与し、継続して情報開示レベルを引き上げている。コロナ下で開催した決算説明会では、危機対応や収束後を見据えた事業戦略を説明し、高い評価を得た。先行き不透明な状況の中で業績予想を開示し、早めにネガティブ情報を伝えようとする姿勢も評価されている。事業環境や投資家の関心を踏まえて開催する拠点見学会や事業説明会も充実している。ESG説明会などを通じた中長期の企業価値向上への意志も明確である。

丸井グループ
2019年・2017年優良企業賞/2016年特別賞

コロナ下においても経営トップが決算説明会に登壇し、一定の前提に基づいてコロナ影響額を情報開示した。事業構造を小売から金融(フィンテック)主体にシフトさせる中、アフターコロナの事業コンセプトを打ち出して投資家とのコミュニケーションを深めている。IR部門は投資家の理解を進めるために資料の充実に取り組み、丁寧に説明している。統合報告書や様々な説明会などの活動を年々充実させており、資本市場からの注目度も高い。

IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)

コマツ(小松製作所)
2017年・2010年大賞/2016年・2013年・2008年・2007年優良企業賞

経営の基本を明確にし、「コマツウェイ」を定めて企業価値向上に努めている。理念を中期経営計画のKPIに落とし込み、社内に浸透させている点への評価も高い。統合報告書は、そうした取り組みを伝えるために十分に考えたことが読み取れる。経営トップが投資家との対話を重視する姿勢も継続しており、四半期ごとの対話や説明資料が充実している。ESGへの取り組みにも積極的で、説明会や面談などを通じて情報発信に力を入れている。

J.フロント リテイリング
2016年優良企業賞

積極的な情報開示を続け、半期ごとにトップマネジメントが決算説明会に登壇して丁寧に質疑応答している。コロナ下で業績見通しが難しい中でも一定の前提に基づいて情報開示し、経営の考え方を明示した。期初から計画を発表した姿勢は高く評価され、投資家との対話も進んでいる。常に改善を目指すIR部門は投資家の視点を経営と共有し、情報開示や経営計画に活かしている。統合報告書における社外取締役の率直な指摘も注目されている。

中外製薬
初受賞

経営トップが積極的に投資家と対話し、軸がぶれず一貫性をもって説明している。IR部門はトップと投資家との対話機会を設けるとともに、自社の研究開発状況や医薬品業界の動向などを丁寧に説明している。コロナ下においても例年以上に投資家説明会を開催するなど、開示の継続姿勢への評価が高い。ESG関連の説明も詳細で、ステークホルダーごとに整理したマテリアリティの設定などが企業価値創造の方向性を明確にしている。

日本電信電話
2015年優良企業賞/2019年・2014年特別賞

経営トップが積極的に情報発信し、投資家との対話を深めている。グループ全体での価値創造プロセスを打ち出し、各事業部門の計画にも反映させて、KPIに対するコミットメントを高めている。IR部門はESGをテーマにしたミーティングなどを拡充し、統合報告書の充実にも取り組んでいる。個人投資家向けIRにも力を入れており、株主アンケート調査の実施や株主総会に向けた事前質問に対する回答のウェブ掲載などを通じて対話を続けている。

日立製作所
1996年優良企業賞

経営トップがIR活動にコミットし、企業価値向上の方向性を示している。事業ポートフォリオについて投資家と対話するなど、前向きな姿勢が明確である。目指す姿を明言した構造改革への評価も高い。ESGの視点を経営に取り入れ、その進捗を示す活動も進んでいる。コロナ下においても、影響を早い時点で定性面も定量面も積極的に開示した。経営説明会の継続やトップとの対話機会の設定、統合報告書の改善などIR部門の取り組みも評価されている。

ミネベアミツミ
2018年特別賞

経営トップが四半期ごとの説明会に登壇し、率先して資本市場とコミュニケーションしている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、定例のアジア工場見学会などのイベントが開催できない中でも、投資家との接点を維持、改善しようとする取り組みを続けている。統合報告書における価値創造プロセスの説明が充実し、非財務資本が支えるコアコンピタンスの明確化と価値創出への道筋がわかりやすいという評価を得ている。

IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)

エフピコ
初受賞

経営戦略の説明に一貫性があり、情報開示レベルを高めている。決算説明会資料は業績変動要素などが詳細で、IR部門の説明もわかりやすい。食品トレー製造業として環境問題に対する意識が高く、約30年にわたってリサイクルに取り組んでいる。プラスチック資源の回収などリサイクルに関するデータを具体的に示し、企業価値向上の説得力を高めている。IR部門と経営トップとの距離が近く、投資家との対話機会や経営課題の共有にも努めている。

花王
2019年・2002年・2000年優良企業

経営トップがESG経営を宣言し、投資家の理解を進めるための対話を続けている。ESG・サステナビリティ関連の開示やKPIを充実させ、事業部門などが登壇する説明会も充実させている。こうしたESGへの取り組みを通じた持続的成長の道筋を明確に打ち出し、進捗を説明している姿勢への評価が高い。IR部門も投資家に対する迅速な応対、英語資料の充実に努めている。コロナ下でもビデオ会議で投資家との対話を続けた点も評価された。

不二製油グループ本社
2018年優良企業賞/2017年特別賞

ESG経営に積極的に取り組み、CEOによる長期ビジョンの発信や統合報告書をベースとした投資家との対話を続けている。主力の油脂・チョコレート事業に関し、経営陣とサプライチェーン関係者やNGOとの対談をウェブサイトで報告する取り組みも評価された。投資家の要望をIRに反映させる姿勢が鮮明で、資料の改善やイベント開催に反映されている。技術やESGなどテーマを絞った説明会や現場見学会などに工夫があり、投資家の注目も集まっている。

IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)

オイシックス・ラ・大地
初受賞

決算説明会資料が詳細でわかりやすい。KPIを伴った事業別状況の解説や、業績変動の背景となる特別要因の説明、長期視点の経営戦略の具体性などに評価が集まった。説明会資料や適時開示書類などは英文とともにウェブサイトに掲載され、フェア・ディスクロージャーの意識が読み取れる。IR部門が積極的に投資家と対話し、丁寧に説明しようとする姿勢も鮮明で、ITやDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する対話についても評価を得ている。

鴻池運輸
初受賞

自社の事業領域の多様化に伴い、強みや課題を整理した情報開示の拡充に取り組んでいる。経営層はIR部門がフィードバックする投資家の指摘を参考にしてKPIを設定し、資本効率の向上などに活かしている。ROIC(投下資本利益率)を導入し、資本コストを意識して事業ポートフォリオを構築する経営への注目度も高い。ESG情報開示にも取り組み、統合報告書の作成を始めた。事業の現場を確認できる施設見学会への評価も高かった。

“共感!” IR賞

with&afterコロナ時代のIR

“共感!” IR賞(共感賞)とは、IR優良企業賞の開催25回目を機に新設したもので、今後も適宜実施を予定しております。IR優良企業賞に応募した企業の視点を「投票」によって反映させ、積極的なIR活動を共有し、ベストプラクティスの実現を目指すことを目的としています。2020年は「with and afterコロナ時代のIR」をテーマといたしました。

選定企業17社(証券コード順)

2607 不二製油グループ本社
2768 双日
3182 オイシックス・ラ・大地
3231 野村不動産ホールディングス
3407 旭化成
3673 ブロードリーフ
4151 協和キリン
4658 日本空調サービス
4927 ポーラ・オルビスホールディングス
6305 日立建機
6367 ダイキン工業
6856 堀場製作所
8035 東京エレクトロン
8252 丸井グループ
8630 SOMPOホールディングス
9432 日本電信電話
9644 タナベ経営