IR優良企業賞

毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。

IR優良企業賞2025(第30回)受賞企業

一般社団法人 日本IR協議会(会長:手代木功 塩野義製薬株式会社代表取締役会長兼社長CEO)は、このほど「IR優良企業賞2025」受賞企業を決定いたしました。

審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2025年の応募企業は371社となりました。受賞企業はIR優良企業大賞2社、IR優良企業賞6社、IR優良企業特別賞3社、IR優良企業奨励賞2社の13社です。

IR優良企業大賞 受賞企業(社名50音順)

アシックス
2024年・2023年優良企業賞

経営層が企業価値向上を目指し、主導的にIRを充実させている。CEOやCFOは投資家と直接対話し、その頻度も高い。情報開示も詳細で、製品カテゴリー・地域別の利益率などから経営計画の進捗状況などが読み取れる。IR部門は投資家のニーズをくみ取り、説明資料やイベントに反映させている。米トランプ政権による関税影響や商品トレンド動向などの質問にも適切に答えている。資本コストを意識した経営の説明や社外取締役との対話機会の設定、個人投資家向けIRも積極的に進めている。これからも持続的な成長戦略の表明や資本収益性の向上に期待する。

荏原製作所
2023年・2022年優良企業賞

経営層が積極的に資本市場と対話する姿勢を続けている。現社長は就任内定の公表後まもなく中長期の経営方針を投資家に説明し、その後の対話機会も増やしている。事業戦略の理解を促すIRに積極的であり、事業別ROIC開示や決算説明会資料、IR Dayなどを通じて企業価値向上に向けたプロセスを示している。統合報告書にも定評があり、ガバナンスやサステナビリティを含めた企業グループ全体の取り組みをわかりやすくかつ的確に伝えている。対話機会が増えるなか、IR部門はアナリストなどからの要望に応える資料や活動の拡充を進めている。

IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)

旭化成
2008年・2004年優良企業賞

近年、経営トップが資本市場と向き合う姿勢を明確にしている。投資家と対話する機会を増やし、IR活動にも反映させている。統合報告書は、投資家の疑問や懸念に正面から答える構成と内容に刷新している。決算の事業セグメント別開示を充実させ、3つの事業領域を持つ意味も説明している。特許などを経営戦略としてとらえた「無形資産説明会」も各事業を通す「横軸」を示した点で注目される。ESG課題への取り組みについても、サステナビリティ説明会の実施などを通じて積極的に発信している。

TIS
初受賞

経営トップが積極的にIRに取り組み、対話機会を充実させている。資本コストや株価を意識した経営に関する説明も具体的である。中期経営計画でEPS成長率の目標を掲げるなど、企業価値向上への強いコミットメントが伝わってくる。IR部門の位置づけも重視されており、経験豊富な担当者が配置されている。IR部門の対話力も高く、経営層との情報共有がスムーズであることがうかがえる。決算説明会資料や統合報告書におけるコーポレートガバナンスや人的資本に関する説明も充実している。

TDK
2005年優良企業賞

近年、経営層と投資家との対話機会やIR活動を拡充させている。工場見学会兼事業戦略説明会や社外取締役ミーティングなどの開催を通じて、多面的に投資家の理解を深めている。資本コストや株価を意識した経営に対する意識も高い。事業別ROICの開示や長期ビジョンからバックキャストする経営方針の説明により、事業ポートフォリオ最適化や中長期の見通しを把握しやすくしている。統合報告書や「未財務資本説明会」を通じて、人材や企業文化が企業価値向上にどう結びつくかの説明にも取り組んでいる。

日産化学
2024年特別賞

情報開示のレベルが高く決算説明会資料が極めて充実している。セグメントごとの業績変動要因分析や四半期ごとの予実差異分析は、アナリストの業績予想などに大きく役立っている。中長期の視点でも各事業がどのような状況にあるかを説明し、セグメント別ROICの開示などによって資本生産性を高め、経営改革に取り組む姿勢を示している。CFOが中心となって投資家視点に立った開示や対話の充実に努めており、IR部門も適切に対応している。非財務資本と企業価値向上を結びつける説明にも取り組んでいる。

みずほフィナンシャルグループ
2015年特別賞

経営層がIR活動に関与して評価を高めている。CEOやCFOは投資家と率直に対話し、資本コストや株価を意識した経営の意識も伝わってくる。成長戦略においてはEPSやROE向上を目標に掲げ、実現に向けた説明もわかりやすい。IR部門も投資家の意見や要望などを踏まえて活動の向上に努めている。IR Dayでは事業の注力領域や課題、強みなどの説得力を高め、カンパニー長が出席して投資家と対話している。複数のビジネスの立体的な理解が進み、グループシナジーに関する期待も高まっている。

三井物産
2021年大賞/2019年・2018年・2008年優良企業賞/2014年特別賞

経営トップが資本市場と継続的に対話し、経営に活かしている。トップ自ら大規模投資や中期計画の要点を説明し、投資家視点を踏まえた資本政策も実行している。IR部門は投資家の理解を深めるためにインベスターデイや事業説明会を継続開催し、関心に即した内容の向上に努めている。個人投資家向けIRも積極化し、投資経験やニーズなどを考慮してきめ細かく活動を展開している。統合報告書のブラッシュアップや企業価値向上につながるサステナビリティ関連の開示にも取り組んでいる。

IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)

コマツ (小松製作所)
2017・2010年大賞/2024年・2020年・2016年・2013年・2008年・2007年優良企業賞

継続して情報開示の充実に努めている。とくに今年は米国トランプ政権の関税導入の影響を早期に開示し、業績見通しも公表している。不透明な状況においてもリスクを分析し、製造メカニズムなどの背景も説明して投資家の理解を深めている。また鉱山機械・一般建機の地域別の現地通貨ベースでの動向など、投資家の要望を踏まえた開示の強化にも努めている。IR部門は経営トップによる対話やIR Day、社外取締役との対話といったイベントを充実させ、活動の年間スケジュールも期初に示している。

中外製薬
2023年・2020年優良企業賞

IR活動のレベルが高いといわれる医薬品業界のなかにあって継続して評価されている。経営トップは定期的に投資家と対話し、IR部門は投資家の視点をフィードバックしている。工場見学会や研究所見学会、R&D説明会などのイベントも充実している。新薬が承認された後や学会発表の後に開催する説明会も企業価値の算定や分析に役立っている。人的資本が企業価値に与える効果を説明するなど、社会価値向上と企業価値向上の結びつきの説明も強化している。個人投資家向けIRも取り組みを進めている。

良品計画
初受賞

近年、経営層が前向きにIR活動に関与してレベルを高めている。IR部門へのアクセスも良好で、投資家の理解が深まるよう丁寧な説明に努めている。決算説明会資料などの情報開示も改善・拡充されている。とくに月次実績に関するリモート説明会にはアナリストの業績予想などに役立つとして、多数の参加を得ている。社外取締役とのスモールミーティングや店舗見学会、半期ごとの商品展示会などイベントも積極的に開催している。全国各地で個人投資家と丁寧に対話する姿勢にも評価が集まっている。

IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)

イトーキ
初受賞

経営トップを中心にIR活動を重視する姿勢が明確になっている。トップから経営幹部、IR部門まで資本市場と積極的に対話し、経営に反映することで企業価値向上を図ろうとする意識が伝わってくる。情報開示の改善を段階的に進め、決算説明会資料の改善に努めている。四半期ごとの決算説明会に加え、工場見学会や施設見学会、IR Dayなど積極的にイベントを開催し、機関投資家との対話機会を増やしている。個人株主増加を目指した株主優待の導入やIRサイトの向上にも取り組んでいる。

Sansan
初受賞

経営トップ自ら決算説明会で方向性を示すなど、資本市場のニーズに応えようとしている。四半期ごとの説明会開催などを通じ、国内機関投資家との接点を拡充している。海外投資家に対してもCEOやCFOが海外IRで説明する機会を設け、IR部門も海外投資家へのアプローチを進めている。情報開示も改善し、中期経営計画のKPIを設定したり、競合環境や顧客の獲得状況を分かりやすく説明したりしている。個人投資家向け説明会の開催やIRサイトの刷新などにも取り組んでいる。

“共感!” IR賞(共感賞)

新たな株主層を開拓するための取り組み

【趣旨】

“共感!” IR賞(共感賞)とは、IR優良企業賞に応募した企業の視点を「投票」によって反映させ、積極的なIR活動を共有し、ベストプラクティスの実現を目指すことを目的としています。2020年に新設しました。2025年のテーマは「新たな株主層を開拓するための取り組み」でした。

【選定企業】(証券コード順)

1802 大林組
2264 森永乳業
2379 ディップ
2802 味の素
3591 ワコールホールディングス
4204 積水化学工業
4251 恵和
4443 Sansan
4507 塩野義製薬
5805 SWCC
6197 ソラスト
6754 アンリツ
6810 マクセル
7453 良品計画
8001 伊藤忠商事
8795 T&Dホールディングス
9025 鴻池運輸
9302 三井倉庫ホールディングス

【選定方法】

1. 調査票への回答によるエントリー
2. 投票結果を集計(得票率)
3. 得票率の上位企業(全体、時価総額規模別、業種別)を選定