IR優良企業賞

毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。

IR優良企業賞2023(第28回)受賞企業

一般社団法人 日本IR協議会(会長:泉谷直木 アサヒグループホールディングス株式会社 特別顧問)は、このほどIR優良企業賞2023を決定いたしました。

審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2023年度の応募企業は347社となりました。受賞企業はIR優良企業大賞1社、IR優良企業賞7社、IR優良企業特別賞2社、IR優良企業奨励賞2社の12社と設立30周年記念表彰・特別賞1社です。

また設立30周年記念表彰の一環として、IR向上企業プレミアム70社、IR継続企業プレミアム70社を選定いたしました。

IR優良企業大賞 受賞企業

日立製作所
2022年・2020年・1996年優良企業賞

2020年、2022年のIR優良企業賞受賞後もハイレベルのIR活動を続けている。継続的に開催しているInvestor Dayや決算説明会においては、投資家からのフィードバックを踏まえて内容を進化させている。サステナビリティ関連の説明会も、人的資本などテーマ別に開催しており評価されている。2023年の統合報告書はページ数を前年度に比べて半減させたが、幅広い事業を分かりやすく伝えることを目指し、説明機会も設けている。

IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)

アシックス
初受賞

経営トップを中心に意欲的にIR活動を拡充している。経営戦略の方向性などを担当役員がわかりやすく伝えている。事業・地域別の情報開示も詳細である。 グローバルな製品市場でのポジションや競合を意識した情報開示も特徴的である。戦略を理解してもらおうという姿勢が明確で、充実した対話につながっている。多様な切り口で開催する「インベストメントデイ」は注目を集めており、IRイベントとして高い評価を得ている。

荏原製作所
2022年優良企業賞

経営トップが積極的に投資家やメディアと対話し、明確なメッセージを示している。決算説明会に加えてスモールミーティングや工場見学会などを実施し多面的に投資家の理解を促している。事業別ROIC(投下資本利益率)もセクター内では先進的に開示している。説明会の内容や質疑応答はスクリプトが公表されており、活用しやすい。社外取締役との対話機会も継続して設けており、取締役会議長と投資家との対話内容は統合報告書にも掲載されている。

中外製薬
2020年優良企業賞

経営層がIRを重視し、中長期視点で投資家と対話する機会を設けている。情報開示も充実し、決算説明会資料は継続的な収益力分析に役立つと評価されている。イベント開催にも積極的で、ESGやDXなどのテーマを設けた説明会を通じて関心に応えている。医薬関連学会のフォローアップや疾患に関する知見を得るためのミーティング、研究施設見学会などR&D関連の詳細な説明や対応もきめ細かい。社外取締役が投資家と対話する場の設定も評価されている。

野村総合研究所
2017年優良企業賞

経営トップが積極的にIRに関与し、投資家の声を踏まえて対話を続けている。IR部門は経営トップと距離が近く、投資家の関心事項を伝えていることが読み取れる。経営層と投資家とが事業環境や課題認識を共有しているため、中期経営計画の説明が明晰である。計画の前提や海外事業に関する情報開示の姿勢などに高い評価が集まっている。統合報告書の内容、ESG説明会や事業説明会の開催についても高い評価を得ている。

日立建機
2019年特別賞

近年、経営戦略や業績見通しの説得力が高まっている。日立製作所との資本関係変更後、23年4月に公表した中期経営計画は注力分野を明確に示しており、意欲的な姿勢への評価が高い。経営層のIRへの理解が深まり、事業計画の合理性や業績変動の分析・見通しの精度も高まっている。投資家の関心に応えてIR活動も拡充している。経営トップとの対話機会や事業戦略の進捗説明、事業説明会や工場見学会のIRイベント開催なども評価されている。

三菱UFJフィナンシャル・グループ
2019年大賞/2018年・2017年優良企業賞

経営トップが投資家の目線に応えるIR活動を進めている。一貫性のある中長期戦略とともに、環境変化の影響やPBRへの意識といった関心事についてもタイムリーに説明している。経営目標などに関する投資家の情報ニーズを的確に把握していることから、対話の実効性が実感できる。IR部門には説明に必要な情報が蓄積されており、資料も工夫されている。社外取締役とのミーティングは取締役会におけるモニタリング機能を確認するよい機会になっている。

村田製作所
2022年特別賞

経営トップが継続的にIRに関与している。昨年インフォメーションミーティング(会社説明会)で説明した事業の「3層ポートフォリオ」や、成長のためのキャピタルアロケーション、手元流動性のレベル設定などは、引き続き高い評価を得ている。投資家からの面談要請が増える中、IR部門は対応力を高めている。複数のIR担当者が戦略面・技術面ともに説明できる体制を整え、回数、内容とも充実度を増している。ESGに関する説明も評価が高い。

IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)

コンコルディア・フィナンシャルグループ
初受賞

昨年、就任した経営トップが急速にIR活動を強化している。トップの企業価値向上に対する意識が強く、メッセージは明解である。投資家と積極的に対話する姿勢にも評価が高い。環境が厳しい金融界のなかにあって克服すべき経営課題を認識し変革を打ち出すIR活動は注目を集めている。CEOやCFOとのミーティング機会の拡大、テーマ別説明会(IR Day)や社外取締役とのミーティングの実施、開示資料の精緻化なども加速度的に進めている。

三井化学
2022年・2014年優良企業賞/2013年特別賞

総合化学業界をリードするIR活動を続けている。経営トップは積極的に経営方針を説明し、開示と行動に一貫性があると評価されている。先行き不透明な状況が続く中、構造改革やグリーン投資への意欲も伝わってくる。早くからサステナビリティ関連の情報開示や説明会の評価を得てきたが、社外取締役と投資家との対話機会や人的資本投資の説明も充実させている。決算の変動要因の説明や投資家が注目する領域の開示を拡充させたことへの評価も高い。

IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)

IMAGICA GROUP
初受賞

一見わかりにくい事業の理解を促そうとするIRの意識が高い。IRサイトの構成も個人投資家や初めて関心を持つ機関投資家が情報にアクセスしやすい。説明会資料には業績変動要因を理解するための情報が掲載され、中期経営計画の戦略領域と事業セグメントとの関わりもわかりやすくなった。新サービスの発表時には展示会や説明会を開催するなど、事業の中身をより具体的に示すIRにも力を入れている。資本市場の目線を意識した対話にも積極的である。

トリドールホールディングス
初受賞

CEOやCFOのIR関与が積極的であり、定期的に投資家と対話している。ミーティングに加えて店舗見学会などにも参加してコミュニケーションを取っており、経営層からIR部門まで自社の競争優位性をわかりやすく示すことに努めている。IR部門の対応も丁寧であり、決算発表と同時に想定質問への回答を公表している。将来のリスクになり得る為替の見通しや事業戦略の一貫性が確認できるM&Aの予算枠といった情報開示も評価されている。

日本IR協議会設立30周年記念表彰

日本IR協議会設立30周年を記念して、「特別賞」の表彰、および特別賞の選考対象となった企業から「IR向上企業プレミアム」「IR継続企業プレミアム」を選定しました。

●「日本IR協議会設立30周年記念表彰・特別賞」
日本IR協議会 設立30周年記念表彰・特別賞とは、中長期にわたってIR活動を継続し、適切な情報開示と建設的な対話のレベルを高める取り組みが認められる日本IR協議会会員企業を特別に表彰するものです。IR優良企業賞の審査委員会が2007年から2023年までの17年間の審査結果を基に選考しました。
IR優良企業賞応募企業のうち、継続的に応募があり、かつ第2次審査に進出して審査結果が継続的に高いレベルにある企業の中から、2023年に限り設ける賞です。
●「IR向上企業プレミアム」
この選考の対象となった企業のうち、対象期間中(2007年から2023年までの17年間)、審査委員の高い評価を安定的に得ており、IR向上を目指す努力が認められる企業を選定するものです。対象期間のうち、第2次審査の得点が審査対象企業の平均点を9回以上(17回の過半数)、上回っていることなどを前提としています。こちらも2023年に限っての選定です。
●「IR継続企業プレミアム」
この選考の対象となった企業のうち、対象期間に連続してIR優良企業賞に応募し、中長期にわたってIR活動を継続していると認められる企業を選定するものです。17年間にわたり連続して応募していることを前提としています。こちらも2023年に限っての選定です。

日本IR協議会 設立30周年記念表彰・特別賞 受賞企業

オムロン
2012年大賞/2015年・2007年・2006年優良企業賞/2018年・2005年特別賞

IR優良企業賞の審査において、長期にわたって高い評価を得ている。安定的な評価に加え、先進的な取り組みによって年々レベルも引き上げている。経営トップが自らの言葉で戦略や見通しを語る姿勢、他社に先駆けたROIC経営の導入、コーポレートガバナンスやサステナビリティといった非財務要素を企業価値向上に結び付けようとする取り組みなどは、多くの企業や投資家から注目を集めてきた。時代に即してIRを強化してきた姿勢は高く評価されている。

IR向上企業プレミアム(証券コード順)

1835 東鉄工業
1878 大東建託
1925 大和ハウス工業
2502 アサヒグループホールディングス
2503 キリンホールディングス
2768 双日
2802 味の素
3086 J.フロント リテイリング
3407 旭化成
4005 住友化学
4063 信越化学工業
4183 三井化学
4204 積水化学工業
4307 野村総合研究所
4452 花王
4503 アステラス製薬
4519 中外製薬
4523 エーザイ
4543 テルモ
4568 第一三共
4661 オリエンタルランド
4666 パーク24
4902 コニカミノルタ
4911 資生堂
4927 ポーラ・オルビスホールディングス
5713 住友金属鉱山
5938 LIXIL
6268 ナブテスコ
6301 コマツ (小松製作所)
6305 日立建機
6361 荏原製作所
6367 ダイキン工業
6383 ダイフク
6471 日本精工
6472 NTN
6501 日立製作所
6645 オムロン
6754 アンリツ
6758 ソニーグループ
6762 TDK
6841 横河電機
6856 堀場製作所
6869 シスメックス
7011 三菱重工業
7201 日産自動車
7270 SUBARU
7606 ユナイテッドアローズ
8001 伊藤忠商事
8002 丸紅
8031 三井物産
8035 東京エレクトロン
8058 三菱商事
8060 キヤノンマーケティングジャパン
8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ
8308 りそなホールディングス
8309 三井住友トラスト・ホールディングス
8316 三井住友フィナンシャルグループ
8411 みずほフィナンシャルグループ
8630 SOMPOホールディングス
8766 東京海上ホールディングス
8802 三菱地所
8968 福岡リアルティ
9020 東日本旅客鉄道
9101 日本郵船
9202 ANAホールディングス
9432 日本電信電話
9433 KDDI
9531 東京ガス
9697 カプコン
9832 オートバックスセブン

IR継続企業プレミアム(証券コード順)

1605 INPEX
1835 東鉄工業
2002 日清製粉グループ本社
2282 日本ハム
2331 綜合警備保障
2503 キリンホールディングス
2651 ローソン
2760 東京エレクトロン デバイス
2810 ハウス食品グループ本社
2871 ニチレイ
3407 旭化成
3800 ユニリタ
4151 協和キリン
4183 三井化学
4186 東京応化工業
4204 積水化学工業
4307 野村総合研究所
4519 中外製薬
4523 エーザイ
4568 第一三共
4666 パーク24
4768 大塚商会
4848 フルキャストホールディングス
4911 資生堂
6301 コマツ (小松製作所)
6457 グローリー
6471 日本精工
6501 日立製作所
6504 富士電機
6645 オムロン
6701 日本電気
6724 セイコーエプソン
6727 ワコム
6752 パナソニック ホールディングス
6758 ソニーグループ
6762 TDK
6841 横河電機
6856 堀場製作所
6857 アドバンテスト
6869 シスメックス
7201 日産自動車
7733 オリンパス
7752 リコー
7893 プロネクサス
7911 TOPPANホールディングス
7915 NISSHA
8001 伊藤忠商事
8002 丸紅
8015 豊田通商
8058 三菱商事
8060 キヤノンマーケティングジャパン
8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ
8316 三井住友フィナンシャルグループ
8411 みずほフィナンシャルグループ
8566 リコーリース
8601 大和証券グループ本社
8766 東京海上ホールディングス
8795 T&Dホールディングス
8802 三菱地所
9005 東急
9008 京王電鉄
9020 東日本旅客鉄道
9202 ANAホールディングス
9412 スカパーJSATホールディングス
9432 日本電信電話
9531 東京ガス
9532 大阪ガス
9644 タナベコンサルティンググループ
9697 カプコン
9832 オートバックスセブン

“共感!” IR賞(共感賞)

IR部門の人材育成とパワーアップのための取り組み

“共感!” IR賞(共感賞)とは、IR優良企業賞の開催25回目を機に2020年に新設したもので、IR優良企業賞に応募した企業の視点を「投票」によって反映させ、積極的なIR活動を共有し、ベストプラクティスの実現を目指すことを目的としています。2023年は「IR部門の人材育成とパワーアップのための取り組み」をテーマといたしました。

選定企業21社(証券コード順)

1720 東急建設
2269 明治ホールディングス
2282 日本ハム
3591 ワコールホールディングス
4005 住友化学
4061 デンカ
4091 日本酸素ホールディングス
4188 三菱ケミカルグループ
4307 野村総合研究所
4886 あすか製薬ホールディングス
4911 資生堂
6407 CKD
6701 日本電気
6754 アンリツ
7453 良品計画
7518 ネットワンシステムズ
7936 アシックス
8439 東京センチュリー
9024 西武ホールディングス
9202 ANAホールディングス
9531 東京ガス