IR優良企業賞

毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。

IR優良企業賞2024(第29回)受賞企業

一般社団法人 日本IR協議会(会長:手代木功 塩野義製薬株式会社代表取締役会長兼社長CEO)は、このほど「IR優良企業賞2024」受賞企業を決定いたしました。

審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2024年度の応募企業は355社となりました。受賞企業はIR優良企業大賞2社、IR優良企業賞6社、IR優良企業特別賞2社、IR優良企業奨励賞2社の12社です。

IR優良企業大賞 受賞企業

味の素
2015年大賞/2022年・2021年・2014年・2012年優良企業賞

長期にわたり、全社でIRに取り組む姿勢を継続している。2021年、2022年のIR優良企業賞受賞後も、活動内容を向上させている。CEOは四半期ごとに決算説明会で自ら説明し、CFOも積極的に対話している。事業環境の変化に伴う投資家の関心に迅速に対応し、企業買収の際にも機動的に説明会を開催している。事業説明会やサステナビリティ説明会の継続開催、B to B事業に関する開示も充実している。取締役会の様子を動画公開する試みも始めている。

テクノプロ・ホールディングス
2022年・2021年優良企業賞/2019年奨励賞

投資家との対話のベースとなる情報開示が充実している。決算説明会資料などが詳細で、KPIに基づく説明がわかりやすい。決算説明と合わせて中期経営計画の面からも情報を更新し、投資家の関心に応えている。自社関連情報だけでなく市場環境のデータも充実しているため、業界の全体像を把握できる。CEOとCFOのIR姿勢も積極的で、2021年、2022年のIR優良企業賞受賞後も活動を進化させている。社外取締役との対話や人的資本投資の説明も評価されている。

IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)

アシックス
2023年優良企業賞

経営層が戦略や見通しを率直に語っている。投資家が重視している項目への回答も明確で、具体的な数値を伴う説明には説得力がある。CFOは投資家の視点を踏まえて対話し、相互理解が深まっている。対話のテーマも構造改革、成長戦略からコーポレートガバナンス、ブランドなど広範にわたっている。IR部門は極めて多くの対話機会を設定し、内容の向上にも取り組んでいる。IR Dayなどのイベント開催や投資家目線で作成された資料、決算短信などもわかりやすい。

伊藤忠商事
2012年優良企業賞/2011年特別賞

経営トップが市場の目線を強く意識し、IRに関与している。投資家と経営課題を共有し、外部環境の変化を踏まえ策定する経営戦略も、その積極性を示している。IR部門は、定評ある統合報告書の作成、投資家の関心を捉えた事業説明会、各種IR資料作成などをバランスよく実施している。充実した活動をさらに向上しようとする姿勢やトップとの緊密な連携、事業部門からの情報収集力なども評価されている。ESGと事業価値を関連付けて説明する取り組みも注目されている。

コマツ
2017年・2010年大賞/2020年・2016年・2013年・2008年・2007年優良企業賞

四半期ごとの経営トップとの対話と情報開示が経営への信頼を集めている。IR部門はCFOとの対話機会設定や海外拠点訪問などのイベントを開催し、事業戦略の理解を深める活動に取り組んでいる。業界の見通し関連の多様な情報を開示し、常に質的な向上を目指す姿勢も継続している。社外取締役とのミーティングは、経営に資本市場の声を届ける取り組みとして評価が高い。投資家視点を踏まえた株主還元やキャッシュフローを意識した資本政策にも注目が集まっている。

コンコルディア・フィナンシャルグループ
2023年特別賞

経営トップは就任以来、積極的にIRを進化させている。経営層と投資家との対話機会の増加、社外取締役との定期的なミーティング開催、IR Dayの複数回開催などに前向きな姿勢が表れている。IR部門は投資家の声を踏まえて決算説明会資料や統合報告書を作成しており、PBRの改善策などの説明も投資家目線に応えるものとなっている。事業ごとの定量的・定性的な情報開示、企業価値向上に関するロジカルな説明、質問への適切な対応への評価も高い。

第一三共
初受賞

トップをはじめとする経営層が資本市場と向き合う姿勢を明確に示している。経営層による説明会やミーティングも定期的に設けている。IR部門は研究・開発関連の説明会を高い頻度で開催し、事業責任者とのミーティングなども設定して、投資家の関心に応えている。継続的で詳細な情報開示、テーマを設けて開催する説明会やミーティング、海外投資家を意識したロードショーの実施など、企業価値向上を目指す活動が充実し評価も高まっている。

三井化学
2022年・2014年優良企業賞/2023年・2013年特別賞

経営トップが企業価値向上を目指す姿勢を常に示している。環境変化を背景に事業ポートフォリオ改革を続け、成長戦略と合わせて説明する姿勢が評価されている。2024年にプラントで不具合が起きた際も再開の見通しが立った時点で迅速に情報開示し、トップ自ら説明する機会を設けている。IR部門は経営層と投資家とのミーティング設定、事業説明会などのイベント充実、社内外の最新情報に基づく取材対応などのレベル向上に取り組んでいる。

IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)

ツムラ
初受賞

近年IR活動に意欲的に取り組み、向上に努めている。経営層とのミーティングや情報開示の改善には、投資家の疑問に真摯に対応しようとする姿勢が表れている。IR部門は事業の理解を深めるために漢方市場の特徴やビジネスモデルなどの情報開示を強化し、長期視点の分析に資する情報開示を意識している。経営層もIRに積極的であり、投資家が指摘する課題を取締役会においても議論したうえで資本政策を策定し、その考え方を丁寧に説明している。

日産化学
初受賞

高いレベルの情報開示を続けている。CFOを中心に投資家視点を踏まえて対話しており、IR部門による説明も適切でわかりやすい。決算説明会資料においては、セグメントごとの利益増減分析や主要製品ごとの予実差異分析などが詳細で説得力が高い。中長期視点で事業状況を分析し説明する点も評価されている。業績悪化に対する懸念があった際も迅速に情報開示し説明する機会を設けており、率直な対話姿勢が経営への信頼につながっている。

IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)

あすか製薬ホールディングス
初受賞

情報開示に積極的で、説明会や資料の充実に努めている。説明会資料はデザインが工夫されていて読みやすい。業績予想をするための情報が詳細で、投資家との議論を深める出発点となっている。経営トップも明確な経営ビジョンを打ち出し、戦略を状況の変化に応じてアップデートするなどの積極的な姿勢を示している。IR部門は中長期の成長戦略を示す活動を強化し、経営層とのミーティング開催や投資家視点のフィードバックに取り組んでいる。

U-NEXT HOLDINGS
初受賞

多角化する事業への理解を促す情報開示を強化している。説明会資料には詳細な業績変動要因やKPI達成状況などを掲載し、IR部門は投資家の質問に迅速に答えている。セグメントごとのビジネスモデルや競争優位性などを説明する資料も作成し、新たな投資家層の開拓にも取り組んでいる。事業部門トップによる説明やイベント開催も積極的である。経営トップの考えを知ってもらう取り組みや投資家との対話機会も増やしている。

“共感!” IR賞(共感賞)

経営層と投資家との距離感を縮める取り組み

【趣旨】

“共感!” IR賞(共感賞)とは、IR優良企業賞に応募した企業の視点を「投票」によって反映させ、積極的なIR活動を共有し、ベストプラクティスの実現を目指すことを目的としています。2020年に新設しました。2024 年のテーマは「経営層と投資家との距離感を縮める取り組み」でした。

【選定企業】(証券コード順)

1973 NECネッツエスアイ
2264 森永乳業
2607 不二製油グループ本社
3433 トーカロ
6028 テクノプロ・ホールディングス
6305 日立建機
6448 ブラザー工業
7453 良品計画
7936 アシックス
8001 伊藤忠商事
8053 住友商事
8111 ゴールドウイン
8130 サンゲツ
8309 三井住友トラストグループ
8630 SOMPOホールディングス
8766 東京海上ホールディングス
9044 南海電気鉄道
9064 ヤマトホールディングス

【選定方法】

1. 調査票への回答によるエントリー
2. 投票結果を集計(得票率)
3. 得票率の上位企業(全体と業種別)を選定