IR優良企業賞

毎年1回、優れたIR活動を実施している企業を会員企業の中から選定し、発表します。
審査委員会はアナリスト、投資家、報道機関などで構成されており、応募企業が申告する「調査票」の結果を踏まえて、「IR優良企業」を決定します。IRに熱心な「中・小型株企業」には、「IR優良企業奨励賞」が設けられています。
さらに2005年からは、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や、顕著なIRを実施していた企業を称える「特別賞」を設けるとともに、優良企業賞の受賞が3回目となる企業は「大賞」として表彰することとしました。
「IR優良企業」は株価や時価総額を高水準に保つ傾向が見られます。そのため「IR優良企業賞」は、企業にとどまることなく、個人投資家など市場関係者からも注目を集めています。

IR優良企業賞2022(第27回)受賞企業

一般社団法人 日本IR協議会(会長:泉谷直木 アサヒグループホールディングス株式会社 特別顧問)は、このほどIR優良企業賞2022受賞企業を決定いたしました。

審査対象は、日本IR協議会の会員企業のうち株式を公開している企業で、2022年の応募企業は344社となりました。受賞企業はIR優良企業大賞2社、IR優良企業賞6社、IR優良企業特別賞3社、IR優良企業奨励賞2社の13社です。

IR優良企業大賞 受賞企業(社名50音順)

アサヒグループホールディングス
2014年大賞/2021年・2019年・2010年・2004年優良企業賞/2013年特別賞

長期にわたって高いレベルのIR活動を続けている。2021年3月に就任した経営トップは積極的な対話を続け、CEOのサクセッションプランも開示している。コロナやウクライナ侵攻が業績に与える影響を説明しようとする姿勢も評価が高い。事業説明会では各地域のトップが登壇し、コスト高への対応策や市場動向を見据えた事業戦略をテーマに対話に取り組んだ。投資家の声を反映してマテリアリティを絞り込むなど、市場の理解を得てサステナビリティ経営を進めている。

日本電信電話
2020年・2015年優良企業賞/2019年・2014年特別賞

経営トップがIRに関与し、グループ再編を含む成長戦略を明解に説明している。経営計画において投資家視点を反映した目標値を設定し、達成に向けた姿勢や実績開示によって信頼性を高めている。IR部門も対話機会を積極的に設けている。ESGに対しても評価が高い。新たに公表したESGビジョンに基づくグリーン戦略がわかりやすく、統合報告書も充実している。技術力を活かした消費電力低減による温室効果ガスの削減なども注目を集めている。

IR優良企業賞 受賞企業(社名50音順)

味の素
2015年大賞/2021年・2014年・2012年優良企業賞

食品業界をリードするIR活動を続けている。経営トップは積極的にIRに関与し、2022年4月に就任した経営トップによる「100日プラン」の成果や成長戦略の説明は注目を集めた。IR部門も資本市場のニーズを理解して活動している。財務的な経営課題と非財務的な課題のつながりを示すのに意欲的で、投資家からシンプルでわかりやすいと評価されている。事業説明会やIR Dayなどの対話機会も豊富であり、統合報告書の内容も充実している。

荏原製作所
初受賞

経営トップがIRに強く関与し、明確なメッセージを発信している。年々、情報開示資料や対話機会を充実させて、投資家の評価を高めている。IR DayやESG説明会の内容も充実している。コーポレート・ガバナンス改革の一環として、社外取締役と資本市場関係者とのミーティングに力を入れている。参加した投資家からは、社外取締役が企業価値向上に寄与していることを理解できる機会となっていると評価されている。

テクノプロ・ホールディングス
2021年優良企業賞/2019年奨励賞

経営層のIR姿勢への評価が高い。経営層自ら直接説明し、投資家の意見を取り入れようとしている。IR部門の説明力も高く、資料も投資家視点を反映して柔軟に内容を整えている。KPIの開示が充実しており業績変化の要因等を理解しやすい。企業価値のドライバーとして落としこまれているKPIを活用した議論や、自社のみならず業界の全体像を説明する取り組みなども評価されている。社外取締役とのミーティングも注目されており、多様な社外取締役が登場している。

日立製作所
2020年・1996年優良企業賞

経営トップが投資家との対話を重視し、自ら成長戦略を語っている。事業戦略においても企業価値向上を強く意識していることが読み取れる。IR Dayの継続開催やセグメント情報の充実に対する評価も高い。説明会の動画をYouTubeで日・英2言語で同時配信しており、海外機関投資家、個人投資家を含めた幅広い投資家に対するフェア・ディスクロージャーに配慮している。人的投資などを含む非財務のテーマについても、統合報告書などを通じて積極的に説明している。

富士電機
初受賞

近年、経営トップが登場する対話機会や説明会などが活発化しIRのレベルが高まっている。決算説明会の資料も従来以上に充実し、内容がわかりやすくなっている。事業説明会への評価が高く、投資家の期待を高めている。ESGに対する取り組みも特徴的で、事業戦略と環境貢献を結びつける意識が高い。温室効果ガス排出削減計画の開示はもとより、削減に向けた自社製品による貢献度や、それが事業戦略の柱であることなどを説得力を伴って説明している。

三井化学
2014年優良企業賞/2013年特別賞

経営トップが説明会で積極的に発言し、投資家との対話機会も設けている。決算説明会では外部環境の分析から業績変動要因などを具体的に示し、説得力が高い。資料には投資家の知りたい情報やデータが掲載され、IR部門も社内情報を把握して対話している。ESG経営に積極的に取り組み、目的や進捗をわかりやすく示している。ESG説明会や経営状況説明会なども充実しており、財務・非財務を統合した経営システムなどが投資家の注目を集めている。

IR優良企業特別賞 受賞企業(社名50音順)

アドバンテスト
初受賞

積極的に投資家の意見を聞き、IR活動を改善する姿勢が明確である。経営層は意欲的に企業価値向上の戦略を打ち出し、その進捗についてIR部門が投資家訪問などを通じて丁寧に説明している。成長と株主還元の土台として設定した「バランスシートKPI」は注目を集めた。市場環境が不透明な中、業績に影響を与えるリスクを定量的に開示しようとする姿勢も評価できる。ESGへの取り組みも経営戦略に組み込み、統合報告書などで丁寧に説明している。

村田製作所
初受賞

IR活動を充実し、説明や対話に投資家視点を反映させている。経営トップのメッセージは明確で投資家との対話にも積極的に取り組んでいる。2021年に公表した中期経営計画ではキャピタルアロケーションの考え方を示し、手元流動性の水準も公表した。それらを機にして中長期的な資本生産性向上や株主還元についての議論も深まっている。IR部門との対話機会も増加し、向上への意欲も感じられる。統合報告書への評価も高く、価値創造プロセスなどが注目されている。

横河電機
2019年特別賞

事業環境が厳しい時もIR活動を継続し、情報開示に対する信頼を醸成してきた。従来から事業説明会やESG説明会を積極的に開催し、内容を充実させている。ソリューション事業などのわかりにくい事業分野を工夫して説明する姿勢も評価が高い。経営トップはIRを重視し、機関投資家との対話機会を増やしている。本社や工場所在地で個人投資家向け説明会を開くなど、会社のファンとして長期投資家を増やす活動も注目されている。

IR優良企業奨励賞 受賞企業(社名50音順)

新日本科学
初受賞

IRの改善に向けて取り組み、説明力を高めている。IR担当役員を中心に情報開示の内容を充実させ、対話につなげようという意識が高い。IR部門は機関投資家・アナリストを能動的に訪問し経営方針や事業環境を説明している。丁寧な説明によって主要事業の受注状況などがわかるようになり、業績予想しやすくなったという評価を得ている。投資家の視点を反映したIR活動を通じ、資本市場の評価を高めようとする姿勢に注目が集まっている。

東京エレクトロン デバイス
初受賞

継続的にIRに取り組み、わかりやすく説明しようと努めている。近年は事業戦略が明解に伝わるようになり、資本市場からの評価も高まっている。経営トップ、IR部門ともに真摯にIRに臨み、それが活動の安定感につながっている。情報開示は適切であり、バイアスがなく信頼できるという評価を得ている。主要事業の特徴や扱う商品の説明にも改善がみられる。利益成長につながると位置づけた有望事業の施設見学会などのイベント開催にも積極的である。

“共感!” IR賞(共感賞)

ステークホルダーと協働するIR活動

“共感!” IR賞(共感賞)とは、IR優良企業賞の開催25 回目を機に2020 年に新設したもので、IR優良企業賞に応募した企業の視点を「投票」によって反映させ、積極的なIR活動を共有し、ベストプラクティスの実現を目指すことを目的としています。2022年は「ステークホルダーと協働するIR活動」をテーマといたしました。

選定企業20社(証券コード順)

1925 大和ハウス工業
1973 NECネッツエスアイ
2607 不二製油グループ本社
2678 アスクル
2768 双日
2810 ハウス食品グループ本社
3086 J.フロント リテイリング
4177 i-plug
4927 ポーラ・オルビスホールディングス
5938 LIXIL
6028  テクノプロ・ホールディングス
6460 セガサミーホールディングス
6467 ニチダイ
6506 安川電機
6701 日本電気
8060 キヤノンマーケティングジャパン
8795 T&Dホールディングス
9006 京浜急行電鉄
9064 ヤマトホールディングス
9551 メタウォーター